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醤油の話 (3) |
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何がうまいか・まずいかというのは個人差が大きい。もちろん地域差も大きい。醤油の好みが良い例である。
お菓子は言うまでもなく「嗜好品」だが、この「嗜好品」という言葉を分解してみると、食というものがいかに風土と歴史を背負っているか理解できる。
「嗜好品」とは「口が老いる日まで好む品」なのである。だから当然保守的になりやすい。逆に子供の頃から慣れ親しんだ味というものに人は郷愁を覚えるのである。
歯が弱くなったお年寄りが「昔食べた堅焼きの草加煎餅が食べたい」などという。昔食べた思い出が強く呼び覚まされるのである。
一方、日本人ほど新しい味の世界に革新的な人種もないだろう。目新しいフルーツや野菜、デザート、お菓子など話題となると試さなくては気が済まないという人も少なくない。これは、若い人だけではない。
事実、チーズの輸入量は過去10数年で数倍になっているし、最近ではオリーブオイルのソムリエさえいるという。
つまり、「保守的」な伝統食と「革新的」ないし「進歩的」な新奇性食品を共に同化させる能力を日本人は持っていると言うことなのかも知れない。
日本古来の神道の神様・八百万の神と仏様の融合、そればかりかインドや東南アジアの神様まで取り込んでしまう求心力を持つ日本人ゆえ、食の世界でも同様なのであろう。実際、世界のすべての国の料理が美味
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