|
醤油の話 (2) |
|
醤油ほど各地で好みの異なる調味料はないだろう。もちろん関東は関東で同じような味だが、いったん関西や九州ともなるとかなりの違いに驚かされる。
当然、煎餅やあられの味にも違いが出てくる。名古屋や中京地域のあられは「溜まり醤油」がよく使われるので、関東人にとっては何となくしつこい味付けに感じられる。
一方、関西の人が東京の立ち食い蕎麦などを酷評する。「東京のつゆは水が焦げたような色」と言い、しょっぱくてたまらないと言う。また関東人は関西の「白醤油」の味は分かりづらい。
一番おもしろいのは、九州だ。熊本の「ニビシ醤油」というブランドは窒素分たっぷりの「たまり」である。馬刺しには合うように思うが、白身魚の刺身には少々重たすぎるように関東人には感じられる。それでも熊本人は「ニビシがよかバイ」である。
熊本県天草に行くともっと不思議な「早川しょうゆ」なるものがある。これは、グルソーばかりか砂糖まで入った製品で、名前も「あまくち」と表示されている。
長崎では「チョーコー醤油」、鹿児島の「甘口醤油」など、さすが元もと九つの国が独立していただけに、それぞれの県民が独自の味になじんできたということだろう。
|
|