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醤油の話 (1) |
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煎餅やあられに欠かせない調味料であり、日本人が料理に用いて最も好むものが「醤油」だろう。もっとも、醤油の歴史はせいぜい江戸時代初期からのようだ。
それよりはるかに古い調味料は「味噌」である。この味噌から派生して出来たのが醤油であるらしい。「醤」ないし「醢」は「ひしお」と読み、寝かせた味噌の上澄み液を取ったのが醤油の始めである。
醤油のうまさは、天然の旨味成分であるアミノ酸による。刺身の味をひきたて、煮物を美味しくする。今や世界的な万能調味料と言える。
さて、古い歴史を持つ醤油の製造者は少なくないが、一番多いのが亀甲(きっこう)マークの中に漢字一文字を入れているものだ。
これにはちよっとしたストーリーがある。
関東での醤油の産地は、今でこそ千葉県野田、銚子が名高いが、実は茨城県土浦も有名な産地だった。幕藩時代、土浦には城があり、この城を形にちなんで「亀城」(きじょう)と呼んでいた。
幕府は優良な醤油製造者に組合をつくらせ、亀甲マークを使用することを許したのであった。この亀甲こそ、特選醤油の郷・土浦にちなんだものだった。
しかし、現在では土浦市に柴沼醤油醸造が一軒「亀甲正」を掲げて残っているのみである。その歴史はゆうに三百数十年をこえている。
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