お菓子マーケットプレイス株式会社
ブラックなんダー
「ブラックなんダー」 黒の恨み唄J 【開悟成道編(1)】


ブラックなんダーは時代の寵児、今が盛りの売れっ子になった。

テレビにラジオに新聞雑誌の取材、講演会の依頼に、一日署長、と文字通り引っ張りだこだ。

人気の昇り具合は、のちのバブル期の株価なんてものじゃない。 ジャックと豆の木、宇宙ロケットのようなものだ。



・・・しかし、ブラックなんダーの心にはポッカリと空いた穴がある。
それが、最近どんどん広がってきたのである。

『黒の恨み唄』は空前のヒットとなり、印税はガッポガッポと入り、カネはいくらでもある。

高級シャンパンなんぞは水代わりに呑んでいるし、銀座の鮨屋は注文しなくても毎日出前してくる。
車は超高級外車、身のまわりには、タイプの違う美女を常に3人日替わりではべらせている。

それなのに・・・・である。


ブラックなんダーの心の間に吹きすさぶ、荒涼とした隙間風の正体は、何なんだろうか?

彼は叫んだ。自宅のある超高層マンション最上階のベランダから、不死山に向かって。


「オレはいったい何者なんダー?」


不思議なことに、遙か遠い不死山から答えが帰ってきた。

叫んだ彼の声は、こだまとなり、しばらくして言霊となって還って来た。

そのこだまは、こう言っているように聞こえた。

「〜オメエはいつまででも、ブラックなんダー〜なんダー〜 なんダー〜 なんダー〜 なんダー〜 ・・・」

彼は忽然として悟った。
禅僧が悩み抜いた結果得た「悟り」のようなものだった。


「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」


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