お菓子マーケットプレイス株式会社
ブラックなんダー

【ブラックなんダー】 「人生は修行だ!」の巻 (22)

ブラックマイスターの秘密を、うっかり寝言でバラしてしまった・・・

そんなことも露知らず、ぐっすり眠りこけていた、ブラックなんダーであったが、前夜寝る前に呑んだビールのせいか、尿意を催して目を覚ました。
夜も白みはじめ、もう少しで日の出という時刻である。
カーテンの隙間から薄明かりが入り、ぼんやりと室内を明るくしている。

ふと横を見ると、となりに寝ているはずの妻、白妙の姿がない。
布団を脱け出し、トイレに向かおうと廊下に出ると、寝室の隣の小部屋から物音がした。

その部屋は妻の化粧部屋、プライベートスペースなので、普段はブラックなんダーが勝手に覗くことはない。
しかしそのとき彼は、早起きしている妻を労おうとして、なんとなく戸を開けた。

「おはよう白妙、早起きだねっ! いつもご苦労さ・・・。」
白妙の化粧をしている様を見てブラックなんダーは腰を抜かすぐらい驚いた。

そのとき、確かに白妙は化粧、身繕いの真っ最中であった。
ただ、なんと彼女の下半身には足ではなく、鱗と尾びれがあった。
人魚から人に化けようとしている途中だったのだ。

不意に現れたブラックなんダーに人外の姿を見られた白妙は、ブラックなんダーを押しのける様にして廊下に飛び出すと、お手洗いまで走り、扉を開けた。
そして、白妙は人のかたちから白い小さな鯉にその姿を変え、洋式トイレに自ら飛び込むと、忽然と姿を消してしまった。

・・・あまりにもとっさのことに、ブラックなんダーは呆然としてその場に立ち尽くすよりほかなかった。


昔から、秘密を持った女性の正体が鳥だったり、魚だったり、ヘビだったりする物語は、日本ならずとも世界中でよくよくある話である。
とはいえ、それを目の当たりしたブラックなんダーにとっては、なにがなんだか分からず、混乱するばかりであった。



「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」


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