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ブラックなんダー

【ブラックなんダー】 「人生は修行だ!」の巻 (4)

身なりの良い、しかしただ者ではない老人は、銀のステッキで天を指し、こう語った。

彼の声は大きく、雷鳴のようであり、ブラックなんダーばかりか道行く人の足を止めたのだった。

「呪われた人間どもよ! 天の怒りを知れ! 文明に犯され、科学を妄信し、カネまみれに狂い死にする哀れな民たちよ! もう一度、呼び起こすのだ! 真の知性と人間らしい生き方というものを!」

彼の声は絶叫と言うべきものであったが、不快感は全くない。
むしろ美しい旋律をもった音楽のようですらある。
はじめ何事が起きたかと目をしばたたせていた人々も、やがて彼の話の中に引き込まれ、うっとりとしているようだ。

聴衆はふくれあがり、終いの頃には50人近くはいたであろう。

どんな著名な政治家が街頭演説しても、このようなことはないだろう。
老紳士の話は、やがて人生というものの価値、人としての生き方にまで及び、感激に打ち震える聴衆も少なくない。
老若男女、それに、もちろんブラックなんダーも、である。



「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」


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