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ブラックなんダー

【ブラックなんダー】 「人生は修行だ!」の巻 (3)

それも、そのはず。誰も近づく訳がない。

彼のぶら下げている看板には、「ブラック企業への就職希望者」であると書かれているが、一般の人には人材スカウトと思われたのだから。

普通の人は「ブラック企業」の意味を知っている。
関係を持ったが最後、一生の不遇が約束されるというものだ。

ブラックなんダーは自分を遠巻きにして通り過ぎていく人の群れを見やりながら「世の中、不景気なんだな〜」などとのんびりつぶやいた。



・・・2時間も立ちっぱなしだと、ブラックなんダーでもさすがに疲れる。
彼が今日のところはひとまず帰ろうかと思い、駅の方にむかって歩き出そうとしたそのときである。
ある一人の老人がブラックなんダーに近寄ってきた。

身なりがよく、どことなく品さえ感じられる、年の頃70才くらいの紳士であった。
だが、身のこなしは年不相応に軽やかで、いかにも「ただ者ではない」という風情が感じられる。

その老人はブラックなんダーを前にして、持っていた銀のステッキを天高く掲げ、大声を発したのである。



「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」


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