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「ブラックなんダー」 ブラックな小説 L |
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クマに頭を食われたらどうなるか? たぶん、痛いだろう。 しかし、作品の質を高めるには体当たり取材も必要なのだっ! ブラックなんダーは柵を飛び越えた。 だが、実際にブラックなんダーがクマに近づいてみると、クマはみんな知らんぷり。 “クマの子牧場”のヒグマたちは、北海猛獣食品製造株式会社の「クマフーズ」を食べているので、まずい人間なんか食べるわけがないのだ。 とくにブラックなんダーみたいに何百年も生きていて、コケが生えた、妖怪のような人間の肉など食いたくもないのだ。 クマにも見放されたブラックなんダーは、独り寂しく“クマの子牧場”を後にして、さらに北へと旅立ったのである。 当然、小説家はやめざるを得ない。 ペンを折った彼の名前は、今となっては知る人さえいない。 未完の大作『黒熊』はこうして幕を閉じたのであった。 (ブラックな小説たち 完) 「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」 |
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