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ブラックなんダー

「ブラックなんダー」 ブラックな小説 J

しかし、幕引きは突然やってきた。

若手小説家のホープとされる白戸一太(ホワイトわんダー)が『白クマの恋』という純愛小説を書き、大ヒット!
ロマンス小説賞の候補にノミネートされたのだった。

時代は、推理小説の時代ではなくなり、純文学に戻ってきたのだ。
もう、ブラックなんダーの名を声高に呼ぶ人もなく、書店での『黒熊』売れ行きもバッタリとなった。

突然、ブラックなんダーはチョー暇となる。

寝る間もない程に、テレビや雑誌の座談会にひっきりなしに駆り出されたのは一昔前のこと。
今では、暇をもてあまして、昼間っからビールやワインを飲んだくれる毎日だ。

売れる前とも似たようなものだが、アルコールが手に入る分だけタチが悪い。
しかも、一度てっぺんを知ってしまっただけに、始末におけない。

彼は鬱屈した黒い思いをため込みながら、起死回生を企み、虎視眈々と機会を狙っていた。
そして、炸裂した。

「そうだ、主人公の男が哀れな死を迎えることにしよう」



「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」

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